授業の要点が分かる学生のための学習辞典サイト

NMR【えぬえむあーる】

NMR(Nuclear Magnetic Resonance)とは、ラジオ波を用いた核磁気共鳴現象、あるいはそれを利用した分光法のことを指す。NMR分光法は有機化合物の分子構造決定や、イメージング技術を用いた画像診断(MRI)にも応用されている。また、原子核のスピン状態を量子ビットとした量子コンピュータへの応用も期待されている。

関連した単語

NMRの原理

NMR(核磁気共鳴)とは、分子を強い磁場の中におくことでそれぞれの原子核に固有の回転周波数(ラーモア周波数)に対応するエネルギーの吸収・放出を伴う現象のことを言う。そのエネルギーを検出することで分子の性質や原子間の関係を解析することができる。NMRによって検出することが原子核は、スピン量子数(I)が0以外の原子に限られるが、これはスピン量子数(I)が0の時は磁気スピンが存在しないため、共鳴をおこさないからである。NMRによる測定が可能かどうか、すなわちスピン量子数が0か否かを簡単に判別するためには、陽子数および中性子数を考えれば良い。陽子数および中性子数の両方が偶数である原子核はスピン量子数(I)が0になり、NMRでは観測することができない。そのため、身の回りに存在する炭素や酸素はそのほとんどがNMRでは検出不可能である。炭素のNMRを検出するには、主要同位体の質量数が12の炭素ではなく、天然には1%しか存在しない質量数13の核を検出する必要があるのはそのためである。また核スピンが存在しても、スピン量子数が1より大きい核は測定が難しい。NMR分光法を用いて得られたNMRスペクトルは分子構造の解析や、結合様式の情報、分子間相互作用を見積もることが可能なため、簡便かつ短時間に測定が可能であるにも関わらず、非常に多くの情報を得ることができる。

NMRの応用

NMRは化学業界をはじめ、製薬、食品、医療など多くの分野で用いられている、現代では不可欠な解析手段となっている。特に農薬や医薬品のような低分子有機化合物、またポリプロピレンなどの高分子材料、そして核酸、タンパク質のような生体物質を中心とした様々な原子から構成される有機物の分析に最も威力を発揮する。医療現場で用いられるMRIは体内に多く存在する水や脂肪を検出することで可視化を行っている。原理上は炭素やリンなどの原子核に対しても利用することができるが、現在のところ臨床診断で利用されている例は少ない。

NMRの欠点

NMRを利用した分析手法には、質量分析、UV、IRなどの他の分析手法に比べて、感度が非常に悪いという欠点をもつ。この原因はNMRによって検出すべきエネルギー変化が、非常に小さいことによる。すなわち、UVやIRでは非常に短い波長の電磁波を検出するが、NMRでは長い波長のラジオ波を検出しなければならないためである。そのため、最も感度が高い水素原子以外は測定に時間がかかることが多い。また、NMRは超電導磁石によって強い磁場をつくりだすが、超電導状態を維持するためには極低温を保たなければならない。そのために、液体ヘリウムが用いられるが、液体ヘリウムは世界的に需要と供給能力がほぼ同じであるために、点検や故障などの理由で供給プラントが停止すると、液体ヘリウムの確保が難しくなり、超電導状態を維持することができなくなりうるという問題点がある。

問題

NMRで観測することができない原子はどんな原子か説明しなさい。

答えを見る

カテゴリ内ランキング

cacicoテキスト買取
cacicoテキスト