授業の要点が分かる学生のための学習辞典サイト

加速器【かそくき】

加速器とは、電磁場を用いて荷電粒子を加速させ、粒子の運動エネルギーを大きくする機械の総称である。身近なところでは、電極間の電位差により電場を発生させて電子を加速して、エネルギーをもった電子ビームを発光面に衝突させることにより画面を発光させるテレビなどのブラウン管も加速器の一種である。加速器で作られる高エネルギーの粒子の衝突反応を研究することにより、素粒子と呼ばれる究極の物質の構造やその基本的相互作用について解明することができると期待されることから、加速器は原子核や素粒子などの学術研究の道具として用いられる他、ガン治療など医療分野にも応用されている。

関連した単語

加速器と電磁場

電気を帯びた荷電粒子を加速させるために必要な電磁場は、電圧や高周波によって発生させることができる。静電加速器は静電場を用いた加速器であり、二つの電極間に直流高電圧を付加して電場を発生させてその電位差により荷電粒子を加速させる方式であるが、原子核や素粒子実験に必要な粒子加速を達成することはできず、線形加速器や円形加速器の前段加速器として使用される。線形加速器は高周波の電場を利用して粒子を一直線上で加速させる加速器であり、シンクロトロンやサイクロトロンに代表される円型加速器は荷電粒子が磁場中を通るとローレンツ力を受けて曲げられる特性を利用して、磁場により電場を発生させる。原子核・素粒子実験などに用いられる高エネルギー加速器は、粒子の加速に位相安定性原理を用いるシンクロトロンであり、1952年に強収束の原理が発見されてからは、それまでの1 - 10万倍の加速エネルギーを得られるようになった。

加速器と加速粒子

シンクロトロンなどの高エネルギー加速器で利用される加速粒子は電子、陽子、重陽子、α粒子、各種重イオンであり、陽電子や反陽子などの特殊な加速粒子を利用するものもある。電子や陽電子は電荷に比べて粒子の質量が軽く軌道を曲げるのが簡単であるものの速度が速いことからエネルギーロスが大きく、陽子や反陽子は電荷に比べて粒子の質量が重いために高エネルギーで軌道を曲げてもシンクロトロン放射をおこしにくい。重イオンは陽子よりもさらに曲げにくい、といった加速粒子それぞれに特徴があることから、加速器も加速粒子の種類によってそれぞれ設計を変える必要が求められ、加速粒子の種類から加速粒子に電子・陽電子などのレプトンを利用したレプトンコライダー、陽子・反陽子などのハドロンを利用したハドロンコライダー、重イオンを利用した重イオンコライダーなどの様々な加速器が考案されている。

加速器と医療への応用

電子や陽子、さらに重い重粒子などの放射線は悪性腫瘍などのガン治療に有効であり、加速粒子に電子を利用した電子線照射のほか、陽子を利用した陽子治療法、陽子より原子番号の大きなイオンを用いる重粒子線治療などの粒子線治療法が実用化されており、放射線発生源として医療用加速器が用いられ、また腫瘍・脳梗塞・心疾患などの画像診断に大きな効果を発揮するPET検査にも加速器が用いられている。医療用加速器には高エネルギー物理学の研究に必要な程の高い加速エネルギーは必要ないが、サイクロトロンやシンクロトロンなどの医療用円形加速器は半径数10メートルの大きさとなり、リニアックなどの線形加速器でも筺体が高さ2メートル程の大きさになるのが現状であり、医療の分野において小型加速器の開発が進められている。

問題

サイクロトロンとシンクロトロンの違いについて説明しなさい。

答えを見る

カテゴリ内ランキング

cacicoテキスト買取
cacicoテキスト