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重粒子線【じゅうりゅうしせん】

重粒子線とはヘリウム原子より重い粒子を加速させた際に発生する放射線のことである。物質の最小単位である原子を形作る原子核や、原子核をつくる粒子のことをいい重粒子とよぶが、重粒子線は電子よりも千倍以上も重い炭素、ネオン、シリコン、アルゴンなどの重粒子を光速近くまで加速することにより得られる、粒子線の一種である。同じ放射線の仲間であり、電磁波の一種であるX線やγ線などと比較すると、重粒子線は線量集中性や細胞破壊力が大きいという特徴がある。

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重粒子線と粒子線

粒子線とは荷電粒子を加速することにより発生する放射線であり、重粒子線のほかに陽子線や速中性子線などがある。粒子線には一定の深さ以上には進まず、ある深さにおいて最も強く作用するという特徴があり、この線量集中性と、強力な細胞破壊力から、陽子線や重粒子線を医療分野に応用する研究が行われている。特に重粒子線は陽子線に比べて高い線量集中性を有しており、ガン細胞のどんな状態のDNAにでも致命的な損傷を与えることができるばかりか、従来のX線を用いた放射線治療では効果のなかった酸素濃度の低い部分のガン細胞を破壊することが可能である。

重粒子線とガン治療

重粒子線の特徴を生かして、正常細胞のダメージを最小限に抑えつつガン病巣をピンポイントで破壊しようと考案されたのが重粒子線ガン治療法であり、現在は主に炭素イオンを加速した重粒子線が用いられている。放射線治療は外科的手術や抗ガン剤投与と並んで有効なガン治療法であるが、X線などを利用した従来の放射線治療法では、放射線がガン細胞だけでなく正常細胞も破壊してしまうことや副作用などのデメリットがあった。その点、重粒子は照射するときのエネルギーによってある深さに大量の線量を与え、その前後に与える線量は少なくすることができるという優れた線量集中性を有しており、線量がピークになる部分を病巣部にあわせることにより、ガン細胞周辺の正常細胞の機能を温存させつつ病巣部のみを破壊することが可能である。また重粒子線の照射には痛みが全くなく、副作用も最小限に抑えて治療ができることから、患者の治療期間を短縮させて早期の社会復帰を可能とすることも治療効果として期待されている。

重粒子線と加速器

粒子線を発生させるためには、電子より重い重粒子を十分に加速させる加速器が必要である。加速器とは荷電粒子を加速する装置の総称であり、加速電圧のかけ方やビームの取り扱い方により線形加速器や円形加速器などさまざまな加速器が考案されている。重粒子線ガン治療法では炭素イオンを最大で光のおよそ70%のスピードまで加速させる必要があり、サイクロトロンやシンクロトロンなどの医療用円形加速器が実用化されているが、こういった加速器は大きな加速エネルギーを得ようとするほど機械や設置面積が大きくなり、大規模な病院や研究施設でしか重粒子線ガン治療を実施できないというのが現状であることから、医療分野での小型加速器の開発が急がれている。

問題

重粒子線ガン治療の対象となるガン疾患について説明しなさい。

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